昔のアメリカ農業 3
かくしてダンラップは世界初の実用的な冷凍フレンチ・フライド・ポテト製造装置を考案したのです。
シンプロットは負債と税金、そして不満を抱く共同経営者たちに悩まされながら、夜も昼も働き、切りつめた暮しをしていました。
この頃彼は生涯でただ一度危うく挫折しかけたことがありました。
小さいころから厳格なフロンティア精神を仕込まれた道徳家のシンプロットは、決してふしだらな男ではなかったのです。
しかし企業家は家族にも社会にものめり込むことが多く(一流の企業家に独身者は稀です)、そのご多分にもれず、この時期シンプロットは違背と不義の行為に走りました。
・・・つまり自分の会社と会社の抱える難問と結婚したのです。
独りにされることがあまりに多かった妻のロージーは、ついに彼の許を去ってしまいました。
このことでいっそう罪悪感を深めた彼は、不信の父親と去っていく妻に対して自分の力量を実証してみせようという意欲をますますかき立てたのでした。
多くの離婚した企業家の例にも見られるように、別離という新しい危機は会社を再建し家族を取戻そうという強烈な衝動を燃え上がらせました。
こうして多くの難問に悩まされてはいましたが、彼はまだ価値あるものを見分ける目を持っていました。
そして驚くべき決断をしました。
シンプロットは幹部の一人レオン・ジョーンズを呼んで、突然だが冷凍フレンチ・フライ製造を始めると告げました。
ダンラップの開発した冷凍装置についてのこのシンプロットの判断は正しかったのです。